「この先何があっても絶対に変わらないものってなんだと思う?」
部活の先輩からそんな問題を出されたのは高校1年の部活のときだったと思います。
その問題はその先輩が先生から出されたもので、一応模範解答があったそうです。それは「僕たちがその問いについて考えていること」だそうです。でも先輩はその答えが気にいらないから別解を探していました。
僕も考えてみました。人類のこと、SFチックなことなど宇宙規模で物事を考えました。
でもどれもこの先どんな発見や発明がなされ、それらを解決してしまうかもと考えると正解とはいえないものばかりでした。
その日の部活が終わってからも考えました。次の日も、その次の日も。日を追うごとにだんだん薄れていきましたが、時々ふと思い出して考えてみる程度には頭の片隅にありました。
気づいたら高校を卒業していました。結局答えを見つけられないまま大学に入っていて、気づいたら演劇なんかやっていました。
でも大学2年の3月、2013年度生の卒業公演のときにやっと「答えかな」と思えるものを見つけることができました。
恐らく今回の公演を見てくださった方はその答えがなんなのかわかっていることでしょう。
それが今回の脚本の種になりました。
そしてその種に水をやったのはとある話の存在があります。それはブッダの話です。長くなるので内容は割愛しますが「キサーゴータミー」で検索してみてください。
私はこの話を聞いたとき、単純にこう思いました。
「いい話だなぁ」って。
今回自分が公演を打つにあたって、「なきがおらしい」ものをやろうと思っていました。学芸大で演劇団体の壁がなくなっていく現状を踏まえ、なきがおのアイデンティティを確立したいと思ったからです。
そこでまず今までに聞いた感動した話は何かなと考えました。そのときに1番はじめに思いついたのがこのブッダの話でした。この話をもとにして『壁とパレット』の脚本はできました。
今回の公演は役者やスタッフ、その他色々な人が携わって公演が打てたことは言うまでもありませんが、その前にも脚本や企画する前にも人との繋がりやそこから生まれた想いがありました。
きっと世にある創作物もそうなんですよね。整然と佇んでいる彫刻だって情熱的な音楽だって落ち着いた雰囲気の映画だって子どもの描いた絵だって。様々な想いがごった返しぶつかり合った結果の形を見せているんだと思います。
今回自分で作品を作ってみてそれを再認識しました。
でも今回の公演は僕だけの想いだけじゃありません。恐らくこの公演に関わった人たちにはそれぞれの想いがあったと思います。企画書をあげたときは僕の色だけだったけれど、公演が近づくにつれて各人の色が付いてきて、なきがお色の花が咲きました。
ほかにもここには書ききれない想いがたくさんあります。けれど今一番言いたいのはこれです。
もう一週間も経ってしまいましたが、『壁とパレット』にご来場下さった皆さん、応援して下さった皆さん、誠にありがとうございました。
第19回公演『壁とパレット』
脚本・演出 林田成志