~仕込みも終盤にさしかかった晩飯時~ ―よろしくお願いします。
湯塚 よろしくお願いします。
―今日は、ブログ用取材を受けてくださりありがとうございます。
湯 あ、本当にやるんですか?
塚 え、もう始まってるんですか?
―なんでや!始めるってば!
なきがおでの演劇 ―塚本は、なきがおで役者するのは実は初なんだよね。
塚 そうですね。演鑑の夏公演で一回とメトロの一年生公演に出て…
―あれ?コーヒーのやつは?
塚 おまけ企画も含めるんですか笑 だったら学芸では役者4回目にして初なきがおです。
湯 僕は逆に、なきがお夏公演がはじめで、なきがお小金井祭と、そこから漠の本公演に1回。
―よくそんなに演劇団体掛け持ちできるなあ。他団体さんとなきがおって、結構違いある?
塚 ありますよ。裏方とか稽古場とか。
―じゃあ例えば、他団体さんの稽古場はどんな感じ?
湯 なきがおって公演ごとの演出家によって様々なメニューをするじゃないですか。先輩の方法を受け継いだり、外部で聞いたことを生かしたり。漠は歴史ある団体というだけあって、代々受け継がれる決まった稽古メニューがあるんですよ。アップ、筋トレ、発声って順番もカッチリ決まってて。
塚 演鑑演劇部は、やっぱり表現することが専門の学科のひとが多く在籍していることもあり演劇に限らずファシリテーションが上手くてレパートリーも斬新な団体ですね。サメの人形のゲームとか。あとメトロはインプロ(*1)が大好きで、よくやってます笑
-ほんとメトロさんはインプロ上手いよねえ。ちなみになきがおは?
塚 なきがおは、基礎練をしっかりやるイメージありますね。あとそんなに遅刻がない。
湯 あとなきがおは、自分の出ないシーンの稽古のときは稽古見てるじゃないですか。あの文化、漠ではないんですよ。その間は別の部屋で自主練してる。
塚 ちなみに今回の稽古場はすごかったですよ。稽古初日から通し稽古してたんですよ。
―え、本読みとかシーン稽古じゃなくて?早くない?
塚 3月末に。年度末公演の最終日の次の日に稽古開きして、通して。もう動きまくった。
湯 みんな動くの好きな人ばっかりだから。放っといても動いてくれるんですよ。
塚 で、稽古始まって2日くらいで前半は完成してた。
-だから速いって。
塚 でも、後半は正直なところ小屋入り(*2)する前にやっと通ったくらい。
湯 今回の漠の台本と比べてみてもめっちゃ分量あるからね。
―でも実際、僕の知る中で一番キツかったのは間違いなく熱海(*3)なんだけど、はじめ変身の台本見たときコレは熱海とトントンくらいかもしれないかな?とか思ったもん。50分なのに。
湯塚 (笑い)
塚 でも、演出家がひとりで決めるというよりも、ちゃんと周りの稽古場メンバーも声あげてみんなで作り上げる、なきがおスタイルはちゃんと変わらずあって。
-そういえばメトロさんの
『M』の演出家さんも言ってたわ。稽古場の中で演出が一番権力低いって。そのくらいみんなで作りあげてる。
塚 メトロはすごく、ひとりひとり演出つけるの上手いっすよ。人間的にちゃんとしてるんで。そこがメトロの良さの一つです。
-・・・本当は役者としての取材とかしたかったのに、他団体さんの話ばっかりしてると思ったら、そういえばこの場だけで4団体揃ってるのか。。。
YOUはどうしてなきがおに(長谷川、到着)
―おかえり!
長 お待たせしました。
-では3人そろったところで。このブログ新入生のひとも見てくれてるかなって思って聞くんだけど、3人はどうしてなきがおを選んだんですか?
湯 僕は、そもそも漠に入るのは決めてたんですよ。それで漠のWSに来てた時、なきがおの先輩から新歓のLINEグループに誘われて。
―なんてタイミングだよ。
湯 僕も、ココでぇ!?!?って思って。
-なんかもう、逆によくそんな間のわるい団体に入ったね。
湯 だからもう、漠の先輩方から団体の紹介とかされてハイハイ言いながら右手ではスマホいじってなきがおのLINE入って笑 この前漠の先輩にそれいったらめっちゃ笑われましたよ。「まあ今漠にも入ってるからいいよ」って笑
塚 じゃあ入部理由は、LINEのタイミングが面白すぎたから、ってことでOK?
湯 まあ実際のところは、教師になった後の演劇人生しか考えてないんで。
皆 おおー。
湯 漠に入ったら舞台装置の技術得られるんで、演劇部の顧問になったら大道具つくってあげられるじゃないですか。で、なきがおではいろんな部署ができそうだなって思ったんです。
塚 それを言ったら、演鑑も専門職になりがちなんですよね。照明の人はずっと照明が多いし。
湯 そんな感じ。一つの部署のプロフェッショナルが何人かいる感じかなあ。
塚 でも漠はプロが多いよね。そんな中なきがおは、意外といろんな部署の経験を持つ人が結構いて。
-確かに。僕なんて1年生の終わりには制作部以外全部経験してたからね。塚本はどうよ。
塚 僕はですね
長 僕は塚本がなきがお入るって思わなかったな。
-上級生の中でも、「絶対演鑑に入るんだと思ってた」とか言われてたし、僕は「メトロに入るんだろうな」って思ってた。
塚 どっちも入ってるじゃねえか!合ってる!
-で、どうなのよ。
塚 僕はもう、部会が楽しかったからですね。
-そんな感じなの!?
塚 まあ、それもあるんですけど。僕はさいしょ演鑑に入ったんですよ。それで夏公演で早速役者をさせてもらって。
-
『(戦場に)行けたら、行くね。』だね。あれ、面白かった。
塚 それが屋外公演だったこともあって、もともとやりたかった照明の仕事が出来なかったんですよ。それで、照明やるためになきがおに関わってみて。で、小金井祭で湯川が張り切ってるのに触発されて演出助手やったりして。名前クレジットされなかったんですけど。
(一同笑い)
塚 どうせ忘れてたんでしょ?だったらそのまま通した方が面白いかなって。そんで小金井祭で結構なきがおの人になって、それで冬公演
『壁とパレット』では1年なのに照明部チーフとか任されて。なんかもうあれよあれよという間に。
―もう気づいたら蟻地獄にはまってた感じだ。
塚 そうそうそう笑 辞めないですけど笑
湯 長谷川の入った理由も聞きたい!
-聞きたい!
塚 確かに!
長 なんででしょーーか!
湯 俺がいるからです!
塚 それ!?
長 あ、そう正解です正解です。ぼくは湯川のハッピーセットなんで。何も考えず入ったんで。
-そうだ。ワークショップ後の晩飯の帰りに俺と湯川と3人で帰って。で湯川に「あいつをなんとか誘ってほしいんだ!」みたいな。
湯 全然覚えてないなあ
―で、そんな経緯だけど、実際なきがお入ってよかったって思う?ひっつき虫として。
長 良かったですよ。演劇やりたい気持ちはあったけど演劇部が無かったから演劇出来なかったクチなんで。
-いいキッカケだった、と。
長 そんな感じですね。そもそも今回の公演の企画立案も僕ですし。
第21回・新入生歓迎公演『変身』 -そういえば。なんでこの脚本を選んだの?
長 『変身』を選んだ理由、ですか。やっぱり新入生が観る、つい1ヶ月前まで高校生だった人たちが観てくれるって考えたときに、「高校生って、自分の存在について考える時期だな」って思ったんですよ。実際この脚本って劇団柿喰う客さんの「高校生のための演劇プロジェクト」で上演された本だ、っていうのもありますし。ちょっと前まで高校生だった人たちに向けて、この本を上演したかった。
-なるほど。
長 っていうのはタテマエで、
-!?
長 はじめ企画立てたいって湯川に相談したときに、幾つかオススメの劇を教えてもらったんですよ。そのときに始めに見たのが『変身』で。もう他の見る前にコレが良いって思ったら湯川もお気に入りの本だったらしく。すぐ決まりましたね。
―単純に好みだった。
長 そうですね。
―では最後に!今回演出を務める湯川に聞きます。第21回・新入生歓迎公演『変身』に対する思いを教えてください。
湯 特にないですよ。
―えっ
湯 今まで高校でやってきた公演や、漠で僕が演出した
『つまるところ、水から。』は、お客さんに伝えたいメッセージとか意識しながらやってたんですけど、今回はそういうの全然ないんです。ただただ純粋に、演劇をやってきた新入生やそうでない新入生にもっと演劇というものの楽しさ・面白さを知ってほしい。これに尽きます。あ、もちろん新入生じゃないひとも歓迎ですよ!
―今日はありがとうございました。こんな彼らが出演する
『変身』、僕がなきがおで見てきた数ある公演の中でも相当クオリティの高い仕上がりとなっております。皆さまぜひお誘い合わせのうえお越しください。
三人 よろしくお願いします!
(文責、たけうちでした。)
(*1)インプロ:即興演劇。エチュードとも。劇中セリフど忘れなどの不測の事態に備える訓練、という名目で行うことが多い。the@terメトロさん新歓公演
『モニター募集!!』、演鑑演劇部さん新歓公演
『縁でも勘でも』でも実際に上演されます。
(*2)小屋入り:劇場の仕込み作業を開始すること。この期間は団員を総動員するため、役者も稽古期間を一時中断するし、人によってはバイト先にごめんなさいする。
(*3)熱海:
劇団なきがお第17回公演『熱海殺人事件~ザ・ロンゲスト・スプリング~』のこと。役者4人で2時間叫び続ける、体力と喉の限界に挑む公演であった。