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『あの日の恋』ホズミ役:わっしょい
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———————ああ、気が滅入る。

私と同じくオンラインでの春学期を迎えた人には、共感を得られるであるだろうつぶやきである。過ごす環境は人それぞれなのでむしろこちらの方が自分に適していると感じる方もいるのだろう。羨ましい限りである。このような生活をしていると、否が応にも自分の暮らしている家というものにいつもより目がいくものである。
私のいる住まいは、きれいな方であると思う。年季はある程度入っているものの、ボロ屋という言葉は似つかわしくない。そんな我が家にはあるお客が度々訪れ、そして居ついている。彼の名前はハエトリグモ。雌雄の区別の仕方が全く持って分からないのでとりあえずとして「彼」とした。

——————ある時間帯の蜘蛛を殺してはならない。

おそらく親に教えられた迷信の一種であろう。信じているわけでもないが、ハエトリグモに関しては別段駆除する理由も見つからないので私は彼に危害を加えることはなかった。そもそも朝昼または夜なのか毎回忘れて、今もどっちか分からんのである意味詰んでいるのもこのことの一助となっている。そういったこともあってか、虫がそれほど得意でない私にとっては珍しく不快感を覚えない存在となっている。そんなある日、私が疑問に思ったことがある。

——————こいつら、何喰って生きてるん?

私の部屋には、5月ぐらいに彼の幼虫と思しきものが現れる。あまりにも小さいため机に広げたプリントに気づかぬ間に潜り込み、再度開く際に煎餅状になってしまっているのを何回か見かけた。ペコリンコストリーム。アーメン。そのような不幸にも負けず成体になった彼らを見て、比率で言えば数倍にもなっているのに、この部屋に餌になりそうなものがない。これはいったいどういうことだろうか。Google先生の出番である。
先生の回答は以下のようであった。「小さい虫を食うよ。成長度合いが異なる場合は残念ながら共食いも起こるよ。これって本能の愚かさってやつ?マジパネェ」本能の愚かさとは100分de名著のファーブル昆虫記回でのキーワードである。そして記述は続き、「あとこいつゴキの幼虫をよくターゲットにするよ」

——————クッソ有能やんけこいつ——————

某Gは私も嫌いであり、それを駆除できるというのだ。その後の記述には、「蜘蛛らしく糸使うけど、基本道しるべに使うからあとで回収されるよ。回収されなくても割とすぐに自然に分解されるよ。」

——————クッソ有能やんけこいつ——————

コバエもいけるということなので、ある6月にコバエが見受けられる部屋にハエトリグモを放ってみた。そんなことも忘れかけた一週間ほど後、そこには放したときより二回りほど大きくなっている彼の姿があった。そういえばコバエもあまり見なくなった。

——————クッソ有能やんけこいつ——————

さすが見たサイトでハンターと称されるほどである。そのため、今年も気温が上がり、虫も増えてきたころ、また彼の力を借りようとしたとき、私は彼を見つけた。そう、誤って便器の中の水たまりに落下する彼の姿を。

——————ハンターさん!!??——————

幸いにもきれいな状態だったので救出した。命に別状はなかったようだ。そして次に彼を見かけたのは、おそらく別個体であるが、浴槽に誤って転落する姿であった。

——————もしかして流行ってるのか?——————

荒唐無稽ではあるが、一瞬そんなことが頭をよぎった。またも救出し、一命をとりとめた。その後彼は割と大きくなっている。
世は麻のように乱れ、地震雷火事親父という言葉の、ラインナップはまあ違うのだけれど、表すような状況はまあそんな感じでもうやんなっちゃうという状況である。そんな状況が彼を狂わせたのだろうか。
とまあそんな感じでいつもと違くてやんなっちゃうってなりながら作り上げた公演です。みてね。
    2020/08/24(月) 00:00 第32回公演 PERMALINK COM(0)
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