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【参加メンバー】(表記名:役者名(役名))
・ああああ:ああああ(智哉役)
・伊月:伊月紡(祐樹役)
・近藤:近藤実里(司会・進行)
・依月:依月(脚本・演出の片割れ)

※本対談は本編のネタバレを盛大に含みますので、ぜひ本編をご覧になったうえで見ていただくことをお勧めします。

Q.今回の脚本『染まる。』はどんなお話ですか?
伊月:どんなお話…それぞれの居場所とか自分らしさとかを考えるような本なのかなと思います。おそらくこの中に出てくるキャラクターの誰かしらのどこかしらには共感できる人が多いと思うのよ。別に特定のキャラに全共感とまでいかなくても「このキャラのこういうところちょっとわかるわ」みたいな。そこを切り口に「居場所って何だろう」とか「集団においての自分の色って何なのかな?」って考える脚本なのかなって思います!
ああああ:特に演劇をやっている人だったら【居場所】って問題はすごい切実な話だと思うんだよ。演じる役が多ければ多いだけ【居場所】ってことを考えると思うし、なんとなくだけど演劇をやっている人は演劇とか舞台とかを居場所にしていると思って。で、この劇は色々な人が出てきて、それが必ずしもいい人ばかりではないんですよね。…僕、最初の役の希望を出すとき、第二希望くらいで健吾君を出したんですよね。
伊月:そうだったねー。
ああああ:なんでしょうね…そりゃ、健吾は悪だしやっちゃいけないことをやっているんですけど、でもなんかね…放っておけない感じがするんですよね。なんか魅力的で。本当にね、だれしもそういう経緯とか背景があって、自分も他人も居場所のことを…なんてまとめようかな。まあふわっとまとめると自分にせよ他人にせよ【存在】ですね。それについて考えたりハッと気づかされたりするお話じゃないかなと思います。

Q.自分の演じた「智哉」「祐樹」はどのような役ですか?
ああああ:なんとなく智哉は…依月さんが意識されたのかわからないんですけど、智哉って作中で名前が呼ばれないんですよね。なんか、それでなんか智哉はそういう立場なのかずっとこねくり回して考えて、なんとなく、未来の達也の姿に見えて。
近藤:なるほど。
ああああ:なんかもし達也がバイトを続けて智哉のベテランバイトお兄さんの系譜を継いで、また達也みたいな子が入ってきたらそんなことやりそうだなって。
近藤:サポートする側ね、いいな。
依月:ちなみに本編中に智哉の名前を出さなかったのは、本当最初は意図せずにやっていたんだけどね、実は本当の一番最初は少しだけ名前があったの。でも智哉の名前をしっかり出しちゃうと【[智哉のところ]に居場所がある】になっちゃう気がして。描きたいこととして智哉の作ってくれるあの空間に居場所があるのであって、智哉の下そのものに居場所があるようにしたくなかったの。それでいうと、実は祐樹のことを呼ぶ回数もかなり少ない。
近藤:確かにそうですね。そう考える智哉と祐樹は意外と共通点があるかもしれないですね。
伊月:ね。劇中の立ち位置とか役割とかが似ているのかもしれないね。…じゃあこの流れで言っていくと、祐樹は…達也の大学同期です(笑)なんかさ、達也ってあまり友達多くなさそうじゃん。仲いい人とは仲いいけど、広く浅くのコミュニティは持っていなさそうじゃん。その点から行くと、達也が大学の中で何か相談できる相手なのかな?って。本編で達也が少し過去のことを匂わせた時もあまり深堀りしていないんだよね。
ああああ:確かに。
伊月:反応の「あぁ…ね」みたいな。「え?何があったの??」みたいに聞いていなくて、それは何かあったか知らないけど察して聞かなかったのもあるし、もしかしたら生い立ちを過去に聞いたことがあるのかもしれないっていうのもあるし。まあ何かしらの空気感をお互いに感じ取れる関係性なのかな?って。
近藤:祐樹も智哉も察しよく突っ込みすぎない感じがありますよね。
伊月:友達にほしいよ~(笑)

Q.印象に残っているシーンはありますか?
伊月:僕さ…達也視点の中の達也と智哉が電話しているシーン好きなんだよね。仲いいし、100%シリアスでもないし100%コミカルでもないっていうこの塩梅がいいんだよね…ずっとまじめな話をしていても緊張している空気が流れちゃうけど、それをしすぎずに緩衝材もきちんとあって、いいな~って。
近藤:本当に…これ2人の空気感がめちゃくちゃいいですよね。
ああああ:うれしいな。
伊月:いつも聞きながらいいシーンだな…ってなってた。で、ネタバレだけど、電話の後に達也と智哉が会っているのが次の日のバイト先なんだよね。この時に達也は謝っているんだけど、それに対して「ちょっとくらいだらけろ」って智哉は言っていて、なんかいい先輩後輩の関係だな…って。全体的にこの2人のシーンが好きだし、特に電話が好きです。
ああああ:自分は、喫茶店を出て女子たちが話し終わったときに達也と祐樹の2人だけが話しているのがいい雰囲気だなって思って。「大したことねえよ」って言いながら「眠いけど」って言っている感じが、なんかそこに気遣いとか忖度とかがない感じが。特に最後が本当に大学生感があふれていて…あまりまじめな大学生じゃないけどね(笑)
伊月:これを新入生が聞いてしまっていいのかって会話なのかね(笑)
近藤:みんな寝ようとしているしね。
ああああ:まあそれよりも映える友情ってことですよ(笑)
伊月:なんかシーン単体じゃないけど、【祐樹と達也の関係】と【智哉と達也の関係】って達也の仲のいい人って言っちゃえば似ているんだけど、それぞれに違う空気感が漂っているよね。その辺は演じていて、聴いていて楽しかったな。演劇をやっていたら当たり前のように感じるのかもしれないけど、同じような立場なのに演じる役者とかキャラとかによって空気感が変わっていく様子を聞いて感じて、改めて演劇の面白さに触れた気がしました。

Q.それでは、佐紀視点(true color)での好きなシーンは?
伊月:2人ともさ、セリフがほとんど達也視点で佐紀視点の方ではほとんどしゃべっていないんだよね。
ああああ:ですね(笑)僕は注文を聞いて…でもあれが一番難しい気がするんですよね。で、true colorの好きなシーン…心から喜べるわけじゃないんですけど、やっぱり最後に健吾君のどす黒い部分が見えてくるじゃないですか。なんかキュンキュンするとかじゃないけどやっぱりここは手放せない感じがします。やっぱりここを見て、健吾君という人物を考える機会になっているんじゃないかなって。
近藤:最後、佐紀は前に進もうとしているのに健吾はどこかに囚われている感じがしますよね。
伊月:好きなシーンの1個は同じ。それまでも何かを感じ取れる箇所はあるけど、最後のこの言葉があることによって【健吾】ってキャラに深さが出るというか…。どうしてもこの話は達也と佐紀から見た世界が描かれているからどうしても健吾は悪役って感じがするけど、健吾の最後の一言があることによって「あ…この人も被害者なのかな?」ってる気がして。忘れがちだけど別に悪役の人も自分が悪役だと思って生きているわけじゃないからね。
近藤:大抵はそうですよね。
伊月:自分の中で何か正義があって、その中でやっていることが誰かから見たら悪に見えるだけだからね。この言葉もそうだし演じている甘並さんの演じ方も相まって「何かきっとこの人にもあったんだな」って感じがして、僕はこのシーンが好き。あと、一気にテンションが変わって申し訳ないんだけど、居酒屋のシーンが好き(笑)
近藤:居酒屋大好きですね。上手いんですよね。
伊月:なんか最初すごく申し訳なかったのよ。演じている2人(くろぎ、美海桜)が1年生で「まだ飲んだことがないんですけど!」って言ってて…ごめんね…って。
近藤:でも「お前ら本当に未成年か??」って。
伊月:本当にこの2人の作る空気感が好きで…。
近藤:いいですよね。結構全体がシリアスだから明るいシーンは映えますよね。

Q.それぞれの役(智哉、祐樹)として今後の達也にエールを!!
ああああ:僕はそれこそ達也には期待しているというか「達也ならできる」って思うし、達也にはそのままでいて欲しいなって。達也って多くの人の助けがあったけど、でも助けを得てもうまく力に変えられなかったり逆に自分を責めちゃう場合もあるけど、でも達也はつらい過去があったからか本当にしっかりしている子だと思っていて。
近藤:そうですね。
ああああ:だからこれから先もいっぱい苦難があると思うけど、もちろん誰かの助けを借りないってこともないし、どんな時でも我を強く持て!ってわけでもないけど、そのままの自分っていうのをしっかり見極めていればお前は大丈夫だ!!って役とも重なるけど、達也に対して思うことかな。
近藤:すごい、智哉って全肯定してくれるよね…いい先輩だ…。祐樹はどうですか?
伊月:達也って周りの人のささくれの部分に気が付くのがうまいじゃん。佐紀のこともそうだし、劇中でも祐樹が達也に「お前はいつも考えて考えて…」って言っているくらいだからさ、きっと過去にもそういうことがあった気がするの。周りの子を助けたいと思えるのもすごいし、人の心のチクチクに気が付くのもうまいから…もうちょっと考えすぎなくてもいいんだよって、祐樹としては言いたいかな?って。

Q.この『染まる。』というタイトルに対して思ったことを聞きたいです!
伊月:これね『染まる。』って「。」まで含めてタイトルなのよね。…まあこのメンバーはタイトルの「。」の重要性を知っているメンバーなんだけどね(笑)
※全員、公演3役(演出部・舞台監督部・制作部チーフ)に所属しています。
ああああ:制作部で、最初雛形を担当した時に「何か足りないな…」ってなって「あ!『。』だ!!」ってなったのを思い出しました(笑)
伊月:ちゃんと気が付いてくれた!!
ああああ:(笑)まあ何かしら意味があるんだろうなと思っていましたけど…『染まる』っていうのが能動的か受動的かで、「染まる」だけだったら自然にって感じがしますけど…。意図して人を染め上げる、それこそ健吾くんが佐紀ちゃんにしていたのはそういうのかな?って。佐紀が染まるのを待っている感じかな?あくまで佐紀が染まるのを待つというか、自分は手を下さずというか…
伊月:確かに健吾は自分の手は汚さなさそうだもんね。
ああああ:「染まる」って自然な意味だけど、そういう風に仕向けると「染める」ってことだよなって言うのがあって。丸に関してはブログにも少し書いてあって…なんとなく循環とか繰り返しとか。多分達也君はこういう苦しいことがあっても乗り越えていく区切りとしての丸を付けられると思うんですけど、健吾君は終わることなく、終止符を打てずに同じことを繰り返してしまう感じがあるんじゃないかなって…。
近藤:確かに、健吾はこの後もまた探しそうだよね。
伊月:一個人の解釈としては、「染まる」の丸が付くと丸が付いていない時よりも人の行動らしさが出る気がして。まあイメージなんだけどね。きっと話の主を誰にするかによっても内容は変わりそうだなと。今回はこの2人が主人公だから丸を付けたのかな?って思う。あくまでこのお話は何人かの人間の長い人生の数日間を切り取っただけで完結したものではないけど、1つのまとまりが付いたから丸が付くのかな?って。
近藤:余談ですが、私はこのタイトルを最初に見た時にデジャブを感じました…。
ああああ:あぁーー(笑)

Q.見てくださっている方に一言!
ああああ:特に新入生に向けて言おうかな?なきがおはね、こんな感じですごく楽しくやっているところなんだよ。演劇団体みんなそうかもしれないけど、特に。あったかいんだよ。みんな流しはしないけどみんな温かい涙が常に体に流れているんだ。で、特に涙が流れる部署として名高いのは制作部なんだ。
近藤:別の意味で泣いているんだよ。
ああああ:まあ人が足りなくてね…色々ね…。何度学生課からの課外制限の通知を受けて涙を流したことか…あれ?ここみんな制作部?
近藤:今回は違うけど制作部経験者です。
伊月:仕切り直し前は制作部でした。だし、制作部の血は流れています。
ああああ:みんな、温かい涙と制作部の血を流そうぜ。ということでよろしく!…以上だ!
伊月:ターンエンド(笑)まあその通りで行くとね、制作部いつもね部署希望△か×が多いんだよね…悲しくなるよね。
ああああ:それな…。
伊月:マジで将来何に生きるかわからないけど何かに役立ちそうな部署No1だよ!!
ああああ:絶対に役立つぞ!
近藤:事務仕事は大事。
伊月:ということでみんな制作部に入ろうぜ☆と制作部の血が流れている身として制作部の宣伝をしたところで。この劇、登場人物それぞれに物語があって、きっと誰かのどこかしらに共感できる箇所があって、なんか生身の人間の数日間を切り取ったみたいなお話なのかなと。だから「私、この人のここの部分に共感できるな」とか、物語の描かれていない箇所を想像し足りとかしてもらえると嬉しいです。そのつながりで行くと「自分の居場所って何だろう」とか「自分って何に染まっているのかな?」とかを考えるきっかけになればうれしいです。

近藤:お二方、ありがとうございました!これにて対談を終わります。
ああああ、伊月:ありがとうございましたーー!

    2021/04/13(火) 18:00 第34回公演 PERMALINK COM(0)
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